キャンパス通信 看護学科2016Vol.1

災害時の看護対応 地域の避難訓練で学ぶ

4年生が必修科目「災害看護論」の学外演習として毎年、看護学科のある呉市阿賀地域の津波避難訓練で企画や運営を引き受けています。
災害による健康問題などについて講義を受けた後、阿賀の気候、地形などの地域特性を踏まえた被害予想をグループ学修で共有し、自助共助の重要性について考えを深めます。
訓練当日はAED(自動体外式除細動器)を用いた蘇生法=写真=などを説明します。
災害看護論は看護師になるための必修科目ですが、学科独自の学外演習によって被災直後の対応、避難所での生活支援、復興期のサポートなど、看護職に求められる実践力を磨きます。

津波避難訓練で災害時の対応を習得する「災害看護論」

地震や津波だけではなく、水害、風害などの災害はいつ起こるか分かりません。昼に避難するのか夜間の避難なのか、暑い時期なのか、冬なのか、季節の特性も災害発生後の対応に影響を与えます。
災害の種類と、災害が人に与える健康問題についての講義を受けた後、呉・阿賀地域の気候や地形、居住者の年齢など、地域特性を考えた被害予想についてグループで共有します。被災した場合の様々な状況や家族構成などを想定し、避難する場合の服装や手順、備えておくべき物品について議論し、自助共助の重要性について考えを深めます。
合同津波避難訓練の約4か月前から、訓練に参加する教育機関関係者と阿賀地域の自治体代表者が話し合い、避難に際する地域住民の要望と避難訓練計画についてまとめます。そこで挙げられた地域の問題を教員が看護学部4年生に伝え、問題解決のための具体策を授業の中で考えていきます。

学生のコメント

災害の研修や救急蘇生法の資格をとり成長できたと思っています。

笠井 悠介 さん(4年生/広島県・如水館高等学校出身)

1年生の時に学生参画防災委員として、キャンパス内の火災避難訓練にかかわりました。ドクターヘリがキャンパスに飛んで来たのですが、その時の医師、看護師の対応の早さにとても感動したことを覚えています。1年生の時にはどう行動すればよいのかわからなかったのですが、火災訓練や集団災害訓練などで看護師とともに活動する4年生を見て、いつか自分もテキパキ動けるようになりたいと思っていました。大学生活の中で、災害に関する研修を受けたり、救急蘇生法の資格をとり、今では成長できたかなと思っています。今年の訓練では地域の方々を支え,助けられるようになりたいです。

一人でも多くの人が助かるように自助共助が大切だと学びました。

柳原 知里 さん(2016年春卒業/広島市立美鈴が丘高等学校出身)

私たちの学年での取り組みは、地域の方々からの「AEDが使えるようになりたい」という要望に応えるものでした。災害時は複数の方にADEが必要になることもあり、限られた資源の中で救助活動をしなければならないこともあると思います。私たちはAEDの使用方法だけでなく、胸骨圧迫(心臓マッサージ)の重要性について伝え、たとえ機材がたりなくてもできる救命救急処置について地域の皆さまに説明しました。皆さん熱心に参加していただき、一人でも多くの人が助かることに繋がっていただければいいと思いました。

災害が起きる前から避難場所を把握しておくなどの心構えが重要。

谷口 俊樹 さん(2016年春卒業/広島県立安西高等学校出身)

阿賀地域の合同津波避難訓練では、逃げ遅れた地域の方を搬送する技術を体験しました。人を抱えて逃げることは簡単ではありません。特殊な用具を使用して二人がかりで搬送しましたが、自分たちも安全に避難するためには課題があったと思います。災害が起きる前からどうやって避難するのか想定し、避難場所を把握しておくことがとても重要でした。早い時期に決断して避難することが救助する時には必要なのだと思います。

指導教員のコメント

複数の災害訓練に参加でき、災害対応について学ぶことができます。

大坪 かなえ 准教授(「災害看護論」担当)

東日本大震災以降、災害について関心を持ち、災害関連のボランティア活動をしている学生も増えてきています。「災害看護論」は看護師になるための必修科目ですが、災害に関する学問としてはこれから発展していく分野です。被災した直後の対応、トリアージ、避難所での生活支援、復興期のサポート、平常時の備えなど、看護職に求められる内容も多くなってきました。 もし、看護師として勤務中に被災したら…、保健師として被災者に対応する時には…、養護教諭として被災した児童・生徒を支援するためには…など、考えておくべきことはたくさんあります。
本学は災害拠点病院、消防、警察など多機関との連携で、年間通じて避難訓練が複数回あり、災害対応を学ぶ機会が充実しています。看護職としての視点だけでなく、チームで連携し、多くの人が助かるために自分ができることを本気で考えることが重要だと思います。

写真で紹介 ~ 合同津波避難訓練での活動

  • 授業では避難経路と危険個所について検討
  • 阿賀キャンパスから高台をめざして避難します
  • 阿賀地区アガデミアに所属するすべての教育機関が参加する2000人規模の避難訓練
  • 避難所に到着したら阿賀地域に居住する方々と避難方法について話し合い
  • 地域の要望でAED訓練を看護学生が企画・実施
  • 呉市職員や消防職員と連携し学生が救急蘇生法について説明

阿賀地域の問題を考え、自分の居住する地域についても考える。

授業をとおして、呉・阿賀地域の災害について考えると同時に、自分が居住する地域についても関心を持ちます。自分自身の防災について考える機会になります。
一次避難所はどこか、家族と連絡をどうやってとるのか、通学中に被災したら・・・、一人暮らしで被災したら・・・、遠くに住んでいる祖母はどうやって避難するのだろう・・・などの「もしも」を考えることはとても重要です。授業では、考えるだけでなく、「その時どうするか」の行動をシミュレーションします。危ない・危険だと認識したら、次にするべき行動を決め、そのことを家族と共有することを課題にもしています。「災害看護論」という科目を通し、自分自身の防災に対する力を身に付けることが重要です。