1)学園の使命
1.建学の精神
「究理実践」
 本学園の建学の精神である「究理実践」は、理論の追求と実践とを一つに結び合わせようとすることを目指して、教育と研究そして人材育成を行っていくという姿勢を表しています。
 これは、近代思想の祖とされるドイツの思想家ライプニッツが提唱する Theoria Cum Praxi という思想に基づくもので、本来は矛盾する「理論と実践」を敢えて一つに結び合わせようとする懸命の努力の中に人間の成長の可能性があり、またそこにこそ社会や科学の発展の原動力が潜んでいるという思想的根拠に基づき建学の精神としています。


2.学園の基本理念
「対話」の教育・「対話」の経営
 本学園の建学の精神に立脚しつつ、哲学者マルティン・ブーバーの提唱する互いに認め合い、共感し合い、時には反発し合う「対話」の関係に基づき、完全に解け合ってしまうことなく、対立を続けるわけでもない、理想的関係のなかで、学術の研鑽と人材育成並びに学園経営を分断することなく、連携を保ちながら高い次元での調和を成し遂げるために、「対話」の教育・「対話」の経営を本学園の基本理念とします。


3.学園の目的
 教育基本法及び学校教育法に従って、学校教育を行い、自らの特性を社会的に実現し、「対話」の精神を自得した円満な人格を形成した人材を育成することを目的とする。(寄附行為第3条から引用)


4.学園の使命
 広島文化学園は、@高等教育の普及と拡大 A地域の要請に応える人材育成 B地域連携・社会貢献 C平和に寄与する人材育成 D対人援助を主眼とした教育の展開を、5つの使命としています。
@高等教育の普及と拡大:
 「誰でも高等教育を受けることができる」という理想に近づけるとともに、AO入試制度、社会人入試制度など様々な取り組みを展開して、ユニバーサル・アクセス時代に呼応する高等教育を目指します。
A地域の要請に応える人材育成:
 「究理実践」という建学の精神のもと、大学と短大に8つの学科を設置し、地域の要請に応える実践的な能力を持つ人材を育成します。さらに、大学には大学院を、短期大学には専攻科を設け、より専門的な能力を持った人材を育成します。
B地域連携・社会貢献:
 本学園の所有する知的財産の提供を積極的に行うため、自治体、企業、学校等と関係を深め、地域と連携した学園を目指します。また、生涯学習センター等の多彩な公開講座、演奏会、講演会、ボランティア活動をはじめとした地域連携センター主管の行事や学校設備や図書館の一般利用、外部団体主催行事への参画など社会への貢献活動を行います。
C平和に寄与する人材育成:
 平和を希求する地域にある学園として、「平和」に対する理念に基づき、教育、研究、地域貢献など様々な取り組みに努めます。
D対人援助:
 大学院、大学、短期大学を有する学園としての魅力を最大限に活かすとともに、「対人援助」に着目し、学生一人一人の夢と未来への飛躍の実現にむけた学園運営を推進します。


5.中期経営計画
 本学園では「中期経営計画V」を策定して、経営改善・教育改善に取り組んでいます。取り組み結果について各部署(学部学科、事務など)では自己点検と評価を実施し、また計画内容についても毎年見直しを行って参ります。

2)学園の過去・現在、そして未来
1.これまでの特色
 「高等教育の普及と拡大」という使命に沿って、さまざまな制度を創設してきました。平成10(1998)年に全国に先駆けて実施したアドミッション・オフィス入試制度は「誰でも高等教育を受けることができる」という理想を1つ実現いたしました。社会情報学部では入学時期を4月と9月の2回制を実施してます。秋季入学は「新学期が秋から始まる諸外国」からの留学生に向けた制度ですが、日本人学生も利用しています。この他、長期履修制度社会人入学制度などをいち早く取り入れ、多彩な入学制度を整えてきました。
 「面倒見の良い大学」も実現してきました。全学年に展開しているセミナー制度もその1つです。10人程度の学生に対して1人のチューターが寄り添い、学習だけでなく生活指導や種々の相談に応じています。「面倒見の良い大学」は、学生一人ひとりと丁寧に「対話」することによって実現します。そして、大学の都合や教員の都合によって学生に制限を加えることなく、学生一人ひとりの夢の実現をサポートすること、このことに教職員は熱意を持ってあたっています。これを「学習者中心の教育 Students Centered Education」と呼んでいます。

2.現在の特色
 大学では「人間力・専門力・就職力」、短期大学では「ルールを守り、自ら立つ」というスローガンを掲げ、卒業後に社会で自立していくことができる能力をつける教育を行っています。単に知識や資格だけでなく、市民社会で生きていく人間としての基本を大切にしています。
 また、高等教育機関の大学・短期大学として、本学園の8学科全てにおいて、学科の教育内容に沿った教員養成を行っています;高校教諭(看護)、高校教諭(商業)、高校教諭(福祉)、高校教諭(音楽)、中学校教諭(音楽)、中学校(家庭)、小学校教諭、幼稚園教諭、養護教諭、栄養教諭。また、さまざまな国家資格、民間資格、検定などの資格取得支援を行い、経済的な自立をサポートしています。
 さらに、高度な専門教育を実践するため、短期大学には専攻科(生活文化専攻・栄養専攻・保育専攻)を、大学には大学院(教育学研究科博士課程、社会情報研究科博士課程、看護学研究科博士課程)を整えています。

3.未来に向かって
 「究理実践」という建学の精神、「対話」という関係性での教育と経営を堅持しながら、また時代のニーズを敏感に感じ取りながら、地域社会そして国際社会が求める人材をこれからも育成していきたいと考えています。
 教育面においては、短期大学から大学院まで設置している学園として、短期大学士、学士、修士、博士というそれぞれの学位の質を保証できる教育課程を常に見直しながら、教育を充実できるように努力を続けていきます。

3)学園の財務状況について
 ここでは、広島文化学園の財務状況と学校法人の財務に関連する決まりや書類について、次の項目に沿って説明します。
  1.広島文化学園の平成28年度収支状況
  2.広島文化学園の収支の推移
  3.広島文化学園の財務比率
  4.広島文化学園の財務状況(まとめ)
  5.備考:学校法人の財務に関する規則と書類

 追記:財務に関する正式な書類は、学校法人広島文化学園のホームページ《事業報告》の部に掲載しています。

1.広島文化学園の平成28年度収支状況
 平成28年度の収支状況を表1(事業活動収支計算書)に示しました。
 平成28年度の事業活動収入計は約28億8,100万円、事業活動支出計は約24億100万円で、その結果、約4億8,000万円の黒字となりました。

事業活動収入計算書とは、学校法人の収支の状況を示すもので、教育研究活動の収支を示す@「教育活動収支」、教育研究活動以外の収支状況を示すA「教育活動外収支」、一時的な要素の収支状況を示すB「特別収支」の3区分で構成されます。@とAを合算したものを「経常収支」として表示します。従来、「消費収支計算書」として全体の収支を1つの区分で表示していましたが、学校法人会計基準の改正に伴い、平成27年度の決算から「事業活動収支計算書」に変更されました。

事業活動収入とは、学生生徒等納付金(授業料ほか)や補助金、寄付金など学校における主要な収入のことです。事業活動収支計算書の「教育活動収入」、「教育活動外収入」、「経常収入」を合計した金額です。

経常収入とは、事業活動収支計算書の「教育活動収入」、「教育活動外収入」を合計した金額です。

事業活動支出とは、人件費や教育研究経費など大学運営の為に支出する経費です。事業活動収支計算書の「教育活動支出」、「教育活動外支出」、「経常支出」を合計した金額です。

基本金組入前当年度収支差額とは、上記の事業活動収入から事業活動支出を差し引いたものです。

当年度収支差額とは、上記の事業活動収入から基本金組入額と事業活動支出を差し引いたものです。
 この基本金とは大学の運営資金や将来の物品購入に備えて蓄えておく資金のことです。法令で蓄えておくことが定めらているものと大学の運営計画に応じて蓄える額を決めることができるものがあります。
表1 事業活動収支計算書(単位:千円、△はマイナス)
平成28年4月1日〜平成29年3月31日まで
科   目 決  算





収事
入業
の活
部動
学生生徒等納付金 2,248,382
手数料 23,268
寄付金 10,649
経常費等補助金 394,547
付随事業収入 17,162
雑収入 87,352
教育活動収入計 2,781,361
支事
出業
の活
部動
人件費 1,455,966
教育研究経費 746,408
管理経費 158,268
徴収不能額等 8,019
教育活動支出計 2,368,663
教育活動収支差額 412,698






収事
入業
の活
部動
受取利息・配当金 4,215
その他の教育活動外収入 0
教育活動外収入計 4,215
支事
出業
の活
部動
借入金等利息 2,694
その他の教育活動外支出 0
教育活動外支出計 2,694
教育活動外収支差額 1,521
経常収支差額 414,219



収事
入業
の活
部動
資産売却差額 0
その他の特別収入 95,858
特別収入計 95,858
支事
出業
の活
部動
資産処分差額 795
その他の特別支出 29,000
特別支出計 29,795
特別収支差額 66,063
基本金組入前当年度収支差額 480,282
基本金組入額合計 △205,448
当年度収支差額 274,834
前年度繰越収支差額 △3,451,620
翌年度繰越収支差額 △3,176,786
事業活動収入計 2,881,435
事業活動支出計 2,401,152

2.広島文化学園の収支の推移
 表1は平成28年度の単年度事業活動収支を示していますが、図1では直近5年間の収支の推移(基本金組入前当年度収支差額と当年度収支差額)を示しています。
 基本金組入前当年度収支差額は増加の傾向にあります。平成28年度までは校舎の耐震化工事を実施したため基本金の組入額が大きくなり、基本金組入前当年度収支差額から基本金組入を除いた当年度収支差額は横ばいの状態です。なお、図1の作成で用いた具体的な根拠数値を表2(消費収支(事業活動収支)の推移)に示します。
図1 基本金組入前当年度収支差額(帰属収支)と当年度収支差額(消費収支)(平成24年度〜平成28年度)

表2 消費収支(事業活動収支)の推移(単位:千円、△はマイナス)
24年度 25年度 26年度
消費収入の部
学生生徒等納付金 2,054,641 2,142,655 2,181,876
手数料 24,725 28,733 29,255
寄付金 3,247 2,588 1,133
補助金 489,934 464,260 469,664
資産運用収入 43,892 7,999 15,629
資産売却差額 155,100 0 56,540
事業収入 15,510 18,390 16,745
雑収入 89,875 106,756 23,794
帰属収入合計 2,876,926 2,771,385 2,794,639
基本金組入額合計 △ 18,012 △ 304,080 △ 308,342
消費収入の部合計 2,858,913 2,467,305 2,486,297
消費支出の部
人件費 1,495,149 1,456,487 1,363,550
教育研究経費 848,996 812,332 799,111
管理経費 150,673 168,044 169,008
借入金等利息 4,736 2,001 2,061
資産処分差額 193,598 10 1,075
徴収不能引当金繰入額 6,262 7,919 3,865
消費支出の部合計 2,699,416 2,446,796 2,338,672
消費収支差額の部
当年度消費収支差額 159,497 20,508 147,624
前年度繰越消費支出超過額 3,920,205 3,724,486 3,703,977
基本金取崩額 36,222 0 0
翌年度繰越消費支出超過額 3,724,486 3,703,977 3,556,353

科   目 27年度 28年度





収事
入業
の活
部動
学生生徒等納付金 2,255,051 2,248,382
手数料 24,517 23,268
寄付金 1,700 10,649
経常費等補助金 379,949 394,547
付随事業収入 18,674 17,162
雑収入 97,247 87,352
教育活動収入計 2,777,140 2,781,361
支事
出業
の活
部動
人件費 1,436,651 1,455,966
教育研究経費 791,157 746,408
管理経費 176,313 158,268
徴収不能額等 5,054 8,019
教育活動支出計 2,338,672 2,368,663
教育活動収支差額 367,962 412,698






収事
入業
の活
部動
受取利息・配当金 11,144 4,215
その他の教育活動外収入 0 0
教育活動外収入計 11,144 4,215
支事
出業
の活
部動
借入金等利息 2,554 2,694
その他の教育活動外支出 0 0
教育活動外支出計 2,5544 2,694
教育活動外収支差額 8,589 1,521
経常収支差額 376,552 414,219



収事
入業
の活
部動
資産売却差額 0 0
その他の特別収入 100,729 95,858
特別収入計 11,144 95,858
支事
出業
の活
部動
資産処分差額 395 795
その他の特別支出 29,000 29,000
特別支出計 2,554 29,795
特別収支差額 71,334 66,063
基本金組入前当年度収支差額 447,886 480,282
基本金組入額合計 △343,153 △205,448
当年度収支差額 104,733 274,834
前年度繰越収支差額 △3,556,353 △3,451,620
翌年度繰越収支差額 △3,451,620 △3,176,786
事業活動収入計 2,889,014 2,881,435
事業活動支出計 2,441,127 2,401,152

 ここで、表2(消費収支(事業活動収支)の推移)の中で特徴的な項目について説明します。
@学生生徒等納付金:
   学生数の増加に伴い増加傾向にあります。
A補助金収入:
   平成27年度以降の補助金収入は会計基準の改正に従い、経常費に係る補助金を教育活動収支、施設設
   備に係る補助金を特別収支に分離して計上しています。
B雑収入:
   退職金財団からの交付金収入の変動により年度によって差異が生じます。
   (人件費の退職金と連動します)
C人件費:
   新学部の設置や研究科博士課程の開設などによる教員組織構築の為、人件費が増加傾向
   にありましたが、人件費抑制策に取り組んでいます。
D資産処分差額:
   備品の処分等による帳簿価格の減少相当額が計上されます。平成24年度は土地建物を一部売却したことで一
   時的に大きな差額が発生しています。

3.広島文化学園の財務比率
 直近5年間の財務比率について、図2〜図3を用いて説明します。なお、比較に用いている全国平均は日本私立学校振興・共済事業団が発行する『今日の私学財政』に掲載されている「その他複数学部」より引用しました。
@事業活動収支差額比率(帰属収支差額比率):
 この比率は、基本金組入前当年度収支差額(帰属収支差額)÷事業活動収入(帰属収入)で計算し、プラスは収入超過、マイナスは支出超過を示します。図2(事業活動収支差額比率(帰属収支差額比率))の青い実線は、本学園の収入に対する収支の5年間の状況を示しています。収支差額比率は新学部・研究科等の設置により改善傾向にあります。
図 2 事業活動収支差額比率(帰属収支差額比率):
      基本金組入前当年度収支差額(帰属収支差額)÷事業活動収入(帰属収入)

A人件費比率:
 この比率は、人件費÷経常収入で計算し、収入に対する人件費の割合を示します。
 図(人件費比率)の青い実践は、本学園の収入に対する人件費の割合の推移です。本学園と同規模の法人では50%台が一般的です。本学園も同規模で推移しています。
図3 人件費比率(人件費÷事業活動収(帰属収入))

4.広島文化学園の財務状況(まとめ)
 現在、全国の学校法人を取り巻く環境は非常に厳しくなっています。本学園の収支は、図1(基本金組入前当年度収支差額(帰属収支)と当年度収支差額(消費収支))で示したように本学園の収支状況は学部学科の改組等により消費収入超過(≒黒字)の状態を維持していますが、更なる改革に向けて収支の改善も必要になっています。教育研究の質を損なうことなく、将来にわたって高等教育の機会を提供することができるように今後も財務状態の改善に努めます。

5.備考:学校法人の財務に関する規則と書類

 平成25年4月に学校法人会計基準の一部を改正する省令(平成25年4月22日文部科学省令第15号)が公布されました。これにより平成27年度以降は新しい学校法人会計基準に従って処理することになります。
 ここでは平成27年度から適用された学校法人会計基準に基づいて簡単に説明します。


 学校法人の財務は「学校法人会計基準」というもので財務処理することが私立学校法で定められています。内容は、学校法人の運営状況を示す決算書(以下、計算書類といいます)の作り方や会計処理の方法を定めたものです。全国の学校法人は、この基準に従って計算書類を作成しなければなりません。計算書類は法令により会計年度終了後2ヵ月以内(5月末まで)に事務所に備え置くことになっています。また、計算書類の概要や財務の状況は情報公開の一環としてホームページ等で公表することが求められています。
 ここで言う計算書類とは、@事業活動収支計算書、A資金収支計算書、B貸借対照表の3つで構成されています。これらの書類には、より細かい情報を記載した内訳表や明細書を付けることになっています。以下、3つの書類について簡単な説明をいたします。
 なお、上記1.〜4.の説明は、計算書類のうち、@事業活動収支計算書について行ったものです。ABについての詳しい資料は、学校法人広島文化学園のホームページ《事業報告》でご覧いただけます。
@事業活動収支計算書:
 1年間の利益(損失)の状況を示します。上記の表1(事業活動収支計算書)に掲載している項目ごとに「予算」、「決算」、予算と決算の「差異」を記載します。平成26年度までは消費収支計算書と呼ばれ、全ての収支が合算して表示されていましたが、平成27年度からの事業活動収支計算書では教育、教育外、特別の3区分に分類して表示することになり、一般的な企業で作成される損益計算書に近い表示になりました。

A資金収支計算書:
 1年間でどれだけ資金(お金)が増えた(減った)かを示します。平成27年度から資金収支計算書に活動区分資金収支計算書を加えることになりました。活動区分資金収支計算書は資金収支計算書の内容を教育活動、施設整備等活動、その他の活動の3区分で表示し、それぞれの活動ごとに資金(お金)の流れが分るようにしたものです。キャッシュフロー計算書に近い表示になっています。

B貸借対照表:
 1年間の最後の時点で、どれだけの資産や負債などがあるかを示します。項目毎に「本年度末」、「前年度末」、前年度末から本年度末までの「増減」が記載されています。

備考:広島文化学園の計算書類は、学校法人広島文化学園のホームページ《事業報告》の部に掲載しています。